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TOYOTA and motorsport Senna with Toyota
TOYOTA and motorsport
アイルトン・セナとトヨタエンジン
2ヒートを完全制覇したセナとトヨタエンジン

F3マカオGPは15ラップのヒートが2回行われる2ヒート制だ。意外だったのは、セナのスロースタートだった。
 
1ヒート目。指定席のポールポジションからスタートしたセナは、海岸沿いにある最初の右コーナー“ヨットクラブベンド”までの間で、チームメイトのゲレロに一瞬トップを明け渡してしまう。しかしゲレロの首位は、タイトな右コーナー“スタチュ”まで。セナはチームメイトのスリップストリームを使い、F3カーを自在に操る見事なドライビングテクニックでトップを奪い返した。
 
ゲレロはレース後、セナの走りをこう振り返っている。
「温まっていないタイヤでなぜあそこまでブレーキを遅らせられるのか信じられないよ」

セナはあっという間に3秒のアドバンテージを築いてしまった。3位にはベルガーがつけ、チームメイト同士のふたりに離されずにいた。

「アイルトンはすごかった」とベルガーは語る。「トップ3人は他のドライバーを置き去りにしていったが、それでもセナのブレーキングテクニックは素晴らしく、信じられないドライビングだった。彼は1度のブレーキングで2〜3mずつ後続を引き離していくんだ。本当に上手かったよ」

結局セナは、2位ゲレロに6秒の差をつけ、チェッカーフラッグを受けた。ベルガーは3位、4位デイビー・ジョーンズ、5位トミー・バーンという第1ヒートとなった。

ストリートレースに挑んだのはマカオGPが初めてだった

セナは時差ボケと蒸し暑さの難から逃れるため、レース後すぐに自分のホテルへ戻り、数時間の睡眠をとった。そしてこのわずかな休息が、第2ヒートの結果に極めて大きな影響を与えることになる。
 
その第2ヒートが始まる。セナはトップ、ポールポジションからのスタートだ。彼は即座にアクセルを踏み込んだ。そして後に続くゲレロに1度も首位を明け渡すことなく、15ラップを走りきったのである。この2ヒート目の圧倒的な走りで、すべての決着がついた。セナはまったく慌てることなく、注意深く、そして正確にトヨタパワーのラルトをドライブしたのだ。そして彼のF3キャリアで最後の勝利が確定した。

彼の圧倒的な勝利はもちろん驚異的なことだが、もっと驚かされる事実がある。なんとセナにとってこのマカオGPは、人生最初のストリートレースだったのだ。F1に登りつめたセナがモナコGPを6回も制していることは良く知られているが、この事実は彼が公道レースのために生まれてきたドライバーだったことを改めて物語っているかのようだ。最終的にセナは、マカオGPを2ヒートとも制し、ポールポジション、ファステストラップも獲得した。

当時、英国『AUTOSPORT』誌でマカオGPをレポートしたイアン・フィリップス記者は、セナのマカオについてこんな風に語っている。「彼が獲得した勝利は、極めて純粋でそして完璧だった。手強いライバルがいてもクラスが異なるかのような圧倒的強さ。彼のレースは、不純物がまったく入っていない純金のように美しく輝いていたんだ」

億万長者のイップとセオドール・レーシングの面々。ドライバーは左からブランドル、セナ、ゲレロ。
この記事は「OneAim」のバックナンバーに掲載された記事を抜粋し、再構成した
ものです。
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